デザインシンキングとは

先日、新人採用イベントでイノベーションワークショップ体験会のファシリテーターを何度か行いました。参加者にはコンサルタントを体験してもらったのですが、そこではコンサルティングのフレームの一つ、デザインシンキングをベースに行いました。

デザインシンキングにかなり興味を持ってもらえましたので、今回はそちらについて簡単にまとめました。

 

デザインシンキングとは

簡単に言えば、イノベーションが起こしやすい思考法の一つです。
なぜか?
ロジカルシンキング(分からない人は「ロジカルシンキングとは」をご覧ください)のように既存のことに対して、延長線上で考えるわけではないからです。

※ただ勘違いしないで欲しいのは、デザインシンキングの中にはロジカルシンキングも含まれていますし、この思考法がロジカルシンキングより優れているというわけではないです。
適宜に必要な場面で使うことが重要で、デザインシンキングに拘りすぎるのも良くないと考えています。

延長線上ではないとはどういうことか?
具体的な例を挙げたほうがイメージがしやすいと思います。イノベーションといえば、よくAppleが挙げられますが、自分は下記の方が好きなので、その話をさせてもらいます。

 まだ馬車が移動手段だった時代の話です。その時代に「利用者に望むものを伺ったら「もっと速い馬にして欲しい」と答えていただろう」、と名言を残した方がいます。

これの何が名言なのか?

これを言った方は、ヘンリーフォードです。
つまり自動車を世に普及させた人物です!

これがイノベーションです。そしてこれを生み出す思考法の一つがデザインシンキングです。
既存の延長線上、つまり利用者が馬という視点(課題)で考えていますが、目的は馬を速くしたり、馬の体力を付けたり、馬の調教がしたいわけではないのです。目的は早く移動がしたいのです。
詳しくはデザインシンキングの方法で話しますが、本質的な問い・課題を抽出して、それが本当に解決すべきことかを素早く検証し、より良い解決策に導ていくことがデザインシンキングになります。

ユーザを注意深く観察して(寄り添って)、本質的な課題を抽出、そしてユーザにとって最適な道をデザインしていくことが必要になります。

 

デザインシンキングの方法

5つのプロセスを何回も繰り返すことによって、クライアントに対して、最適なソリューションを提供します。

 1.共感
 2.問題定義
 3.アイデア創出
 4.プロトタイプ(試作)
 5.検証

5つのプロセスの詳細について説明します。
このとき明確なゴールを持ち、軸がぶれないようにすることが当たり前ですが大切です。他にもターゲットなどの軸があれば、それを考慮することもです。

 

「1.共感」

簡単に言えば、ビジネスの理解です。
クライアントのビジネスを理解し、そしてユーザがどのように利用しているか知る必要があります。よりユーザ目線で、またはユーザを観察することで、どんどん掘り下げていき共感していくことが大切です。

ユーザに質問することも一つの手です。
その際、ユーザへの質問方法は、
 ・オープンエンド型(終わりが決められていない):どのくらい、どのように
 ・クローズド型:はい・いいえや、A・Bなどの選択肢
オープンエンド型で、ユーザに詳細に具体的に答えてもらうことが大切です。

質問では感情まで辿り着くことが重要です。感情というロジカルシンキングでは辿り着きづらいであろう深い部分を共感していきます。そしてニーズ(達成するために必要としたこと)やインサイト(予期しない貴重な情報)をあげていきます。それは質問で答えてないことでも何でもいいです。

ユーザですら気付いていないビジネスの繋がりを共感することを目指します。

※メモ書きは雑で良いです。あとで色ペンで大切な箇所だけ区別すればいいです。

「2.問題定義」

ここでは「1.」のビジネスの理解(共感)から課題を抽出していきます。このとき、気を付けることはクライアントやユーザが気付いている顕在的な課題だけではなく、気付いていない潜在的な課題を抽出することが必要になります。このとき、「1.」でより斬新的なもの、面白かったものを中心に考えると良いかもしれません。

ここでの課題・問いが顕在的であったり、ありきたりなものであれば、それに対応するソリューションも普通のものになります。
つまり、ここの課題・問いが革新的であればあるほど、ソリューションはイノベーションを起こしうる可能性があるわけです。
注意点としては、ここでの問いが間違っていれば、どんなに正確な回答・ソリューションを出しても、それはゴールとして無意味になりますし、下手したらマイナスな効果を発揮します。

また体験会では、ここでソリューションを先に出してしまう人が多くいました。このフェーズでは本質的な課題を抽出することが必要です。もし、先にソリューションを出してしまった場合は、「Why?」を繰り返して論理的に本質的な課題を抽出していく必要があります。(ここですぐ出てくるソリューションは顕在的な問いがほとんどです。)

問題定義は3S「Short:短く、Specific:具体的に、Sexy:魅力的に」が良いかもしれません。また様々な角度から捉えられる文章でも新たな発見があるかもしれません。

本質的な課題抽出作業は難しいですし、それが正解かどうかも確実にはわかりません。そのため、さらにプロセスを進めて、このプロセスを何回も繰り返していく必要があります。

「3.アイデア創出」

ここでは、課題に対してのアイデアをできる限り多く挙げたほうが良いです。
ディスカッション方法はブレインストーミングで良いと思います。
ここで「ブレインストーミング」に簡単に触れておきますが、4つの原則に基づいて、ディスカッションを行い、アイデアを出す方法です。
 ・批判しない
 ・自由な発想
 ・質より量
 ・便乗、結合(アイデアを合わせる)OK

これにより、一旦多くのアイデアを創出したあと、シェイプアップしていけば良いです。アイデアを出しきる前に否定してしまって、誰もが気付かないアイデア、手掛かりを無くさないようにすることが重要です。それはアイデアを出しきった後に行えば良いです。

「4.プロトタイプ(試作)」

早く必要最低限の機能を作成することが大切であり、そこからアイデアの価値を確認していきます。時間内に終わらなくても良いので、素早く作成し、検証できる形にすることが大切です。未完成であっても、それを検証して多くのフィードバック(改善点)を受けることで、新たな発見につながる可能性もあります。
素早く取り組むことは、刺激的であり、コンセプトをより具体的に改善や、できるようにしたくなる意識的なことも重要になります。

他にもプロトタイプの利点として、作成するからこそ分かることもあります。また作成していく中での会話もただ思考していただけでは出てこないことができます。
例え失敗であっても、それを大量に投資してしまう前に気付くことができます。

「5.検証」

リアルな場所・機会で、ゴールに対して、どれだけのパフォーマンス・価値を提供できるか検証します。このとき、フィードバックにより大幅な変更であっても、受け入れることをいとわないことが重要になります。
そして必要に応じて、これら5つのプロセスを繰り返すことで最適なソリューションに近づけていきます。繰り返し始める場所はどこからでも大丈夫です。

繰り返す前に、これまでのプロセスをもう一度やり直せるなら、次は何をする必要があるのか考えておくことが必要です。

 

7つの心構え

デザインシンキングで上記のプロセスを行うにあたって、7つの心構えがありましたので、記載しときます。

 ・言うのではなく見せる
 ・人々の価値観に焦点を当てる
 ・明快な仕事
 ・素早く形にする
 ・過程に注意
 ・行動第一
 ・徹底的な協働

これらの心構え、そしてここでは割愛しますが、デザインシンキングをより良く行っていくためには様々な方法があると思います。各5つのプロセス内でチームが上手く機能する方法を行えば良いと思います。

デザインシンキングという「思考」が付く名前ですが、行動、実践が大切な方法となります。そこも意識していく必要があります。

 

デザインシンキングまとめ

デザインシンキングについて説明しましたが、最後に上記を理解した上で、簡単にまとめます。

デザインシンキングは、より人間中心的に考えることで本質的な課題を発見します。そしてそこで足踏みせず、プロトタイプ的思考を持つ必要があります。
これらの作業はチームとして取り組むことで、異なる視点から相乗効果を生み出すことができます。最後に行動第一ということを忘れないようにすべきです。

 

イノベーションを起こすには、スピードも重要です。またイノベーションはチャレンジすることであり、リスクがあります。必ずしも成功するわけではありませんし、そういった意味でチャレンジする機会は少ないでしょう。ただ、与えられたタスクから正しい答えを考えることだけではなく、発想が行き詰ったときに違う方法で行うことで、何かが変わってくるかもしれません。

簡単に世間を驚かすようなイノベーションを起こすことは難しいですが、このような思考を身につけていくことは大切であり、適宜に上手く活用していければ良いと思います。